組織内会計士の活躍事例


波多野 孝幸 /ブラックロック 機関投資家営業本部

 

―― 会計士を目指した経緯をおしえてください

波多野氏:幼いころは誰もが「こんな仕事をしてみたい」と夢を持つのではないでしょうか。医者やパイロット、野球選手など、置かれた環境や習い事などで興味ある分野を見つけ、目標に向かって努力します。私は6歳のころから珠算を10年間続けたため、会計・財務に興味を持つようになり、やがて公認会計士になりたいと考えるようになりました。小学校・中学校と学業は苦手で、塾も大学受験直前に初めて通ったような勉学無縁の学生であったため、自分に合格できるのかと不安でした。しかし、興味ある学問を使って社会に貢献したいという思いが強かった為、大学一年生の夏から勉強を始め、三年生の秋に公認会計士試験に合格する事が出来ました。昔から追い続けてきた夢を実現させる事が出来、非常に嬉しく思っています。

波多野 孝幸 氏

 

――組織内会計士になった理由をおしえてください
波多野氏:私の大学人生は、365日予備校通いの「駅前留学」状態でした。会計士試験合格後、失われたキャンパス・ライフを取り戻し、人間的な幅を広げるために、自由の国アメリカに留学しました。当時は、海外で培った語学力と経験を活かして、国際的に活躍できる公認会計士になりたいと考えていました。しかし、留学中に偶然受講したDavid Swensenという方の「資産運用」の授業で金融に興味を持ち、我が国にとって資本効率の向上が喫緊の課題であると感じました。帰国後、自分の適性と興味を試すべく金融業界でインターンシップを経験しました。最後まで公認会計士として働くか迷いながらも、止められない思いが勝り、現在の会社への入社を決意しました。

 

――組織内会計士としての略歴をおしえてください
波多野氏:大学三年時に公認会計士試験合格。その後イェール大学に一年間の交換留学。帰国後は証券会社、コンサルティング会社でのインターンシップを経て現職。

 

    ――現在の仕事内容についておしえてください
    波多野氏:年金基金や保険会社、銀行などの機関投資家のお客様に金融ソリューションを提供しています。歴史的な低金利環境下、投資家は難しい意思決定を迫られています。当社のグローバルネットワークを駆使して、海外投資戦略やオルタナティブ戦略を用いた資産運用のアイディアを提供することで、日本ひいては世界経済の発展に貢献できればと思います。

 

――組織内会計士として公認会計士であることの強みとは何でしょうか

波多野氏:試験で学んだ知識は幅広い場面で利用できます。特に金融機関ではファイナンス理論のみならず、会計や金商法・税法の知識が必要となります。例えば、保有する債券の格付けが下がったら、その背景を探るべく財務状況を分析します。新規ファンドの設立には日本・海外の法律知識が必要です。会計基準の改定があれば、保有銘柄や顧客にどのような影響があるのか予測しなければなりません。専門知識と会計士ネットワークを駆使して生まれる「引き出しの多さ」が、組織内会計士の強みと考えます。

 

――企業内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか(資質やスキルなど)
波多野氏:自分一人で取り組むより、他人の助けも借りて知力を合わせた方が、より良い仕事が出来ると信じています。多様な価値観を持つ方々と異なる意見を交えて生まれる新しい視点は、次のレベルに自分を引き上げる貴重なきっかけになります。変化し続ける世の中を多面的に理解し、様々な専門家達とスクラムを組んで、一緒に社会の問題に挑む姿勢が求められると思います。

 

――ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか

波多野氏:「人は社会をつくり、社会は人をつくる」という言葉を耳にしたことがあります。私の家庭は経済的に恵まれていませんでしたが、私の思いに共感して頂いた多くの方々から奨学金という形で御支援をいただく事が出来ました。私の母は30年前、父親が大学入学の直前に倒れたために金銭的な都合から大学進学の夢を諦めました。今でも経済的理由で夢を諦める人は少なくないはずです。これまで挫折という壁にぶつかることの多い人生でしたが、いつも誰かが見ていてくれていて、一緒に乗り越えようとしてくれました。このまま支えられて終わることなく、いつかは社会を支える側に回りたいと思っています。現在携わっている資産運用ビジネスや、組織内会計士協議会専門委員の活動を通じて、今度は私が社会を支える新たな一つの柱になりたいと思っております。

 

    ――若手会計士(または受験中の若者)へのメッセージをいただけますか

波多野氏:興味ある学問に打ち込み、それを社会で活かせるならば、それは本当に恵まれていることだと思います。また、公認会計士試験に向けて培った幅広い知識や不屈の忍耐力は、合格する、しないに関わらず、人生の糧になると思います。受験期間の苦しみや喜びは、何事にも代えがたい経験でした。是非納得のいくまで頑張って下さい。

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