組織内会計士の活躍事例


日興アセットマネジメント株式会社/財務部 清水 隆 氏
―― 公認会計士を目指した経緯をおしえてください。
清水氏: 大学入学後1年以上遊んでしまいました。2年生の夏休みころになって、急に何かをやっておくべきではないかと思い、経済学部に在籍していたこともあり、会計の専門家となるべく、簿記3級の勉強から始めました。3年には会計のゼミに加わり、仲間と共に、公認会計士試験合格を目指しました。

清水 隆 氏

 

―― これまでの略歴をおしえてください。

清水氏: 大学在学中に公認会計士試験に合格し、一般企業で、原価計算、財務等に従事し、その間3次試験(現、修了考査)に合格した後、国内の監査法人、米国の監査法人で監査等に携わり、その後日系及び外資系企業の財務・管理部門でCFO、管理部長、取締役等の経験を経て、2005年より現会社の現職に就いています。米国CPAの資格を持っています。

 

―― 監査法人に行かずに組織内会計士になった理由をおしえてください。
清水氏: チェックする側より行動・作成する側がいいという単純な考えを持っていました。在学中一緒に勉強した仲間や大学の先輩の中にも、自分の選択で、監査法人に行かずに銀行等に行った人間もいました。物を製作している会社が最も社会に貢献しているはずだという、近代経済学を学んだと言えないほど直観的な考えに支配されていた当時の私は、迷わずメーカーに就職しました。

 

―― 監査法人ではどのような業務に従事されていましたか。
清水氏: 国内では、国際部門に所属し、主に外資系証券会社等の日本法人の監査等に従事しました。当時はシニア→スーパーバイザー・インチャージという立場で、主にクライアントの監査部屋につめて、監査手続の実施、監査調書の作成等を行いました。海外(米国)では、日本ビジネス/クライアントサービス部門に所属し、主に日系自動車会社等の米国子会社の監査等にマネジャー→シニアマネジャーという立場で従事しました。税務、給与計算、会計システム等についてのサポート、アドバイスや、現地の日系クライアントの新規獲得のため、セミナーを催したり、既存クライアントの関係維持、強化のための活動、またプロスペクト会社のキイパーソンにアプローチしたりというPD(Practice Development)活動にも時間を割きました。

 

―― 監査法人から組織内会計士になった理由をおしえてください。

清水氏: 広く異なる業界を見たいという気持、また会社全体を見ることのできる監査業務を実際に行ってみたいという衝動、公認会計士資格を運転免許に例えるなら、ペーパードライバーで終わるのではなく、学生時代に取った運転免許を使って、実際に路上を走ってみたいという動機から、日本及び米国で監査業務等に従事しました。監査法人で広く異なる会社に関与することから得た経験を持って、自分にとってより面白いと感じられる、物事を始動する企業サイドに戻りました。

 

―― 監査法人経験の強みとは何でしょうか、又は監査法人の経験が今に活かされていると思うことはありますか 。

清水氏:
・複数の会社に関わり、各階層の人たちや業務プロセス等を見ることで、目が肥え、違いが分かるようになります。それぞれのジャンルにおいて一流の人材とは、ベスト・プラックティスとは何かが、それなりに理解できるようになると思います。
・監査法人との付き合い方(折衝、サービスの発注の仕方等)が上手になります。監査法人のロジック、法人内の機能分担がある程度理解できていますので、相談事項の持ち出し方、結論への道筋の立て方が進化、洗練され、お互いに納得できるポジションに効率的に到達できるようになります。また、どのような調査項目を監査法人に依頼し、どのような項目は他のコンサルタント等に依頼するべきかが細かく理解できますので、専門家の使い分けも上手になります。
・エンゲージメントコードごとにパファーマンスを管理した経験から、チームを組んでプロジェクトを一定期間内に完遂させる能力が身についたと思います。
・細かいテクニックで恐縮ですが、監査調書をまとめる際の、各ペーパー間の、またサポート資料等とのレファレンスの取り方(ティックマーク等)が、あらゆる分野のページの多い書類の理解や整理に役立っています。どのページのどの記述や数字が別のページの記述や数字の基礎となっており、またそこからさらに他のページのある部分に展開されている、というようなことのレファレンスをティックマーク等を用い当該書類に残しておくことで、書類全体の理解が進み、後で見たときの効率が上がります。

 

―― 現在の仕事内容についておしえてください。

清水氏: 投資信託や契約資産の運用会社の財務部長を務めています。責任部署は、財務、資金、税務、経理一般を担当しており、月次決算、四半期決算、年度決算を行い、会社法に基づく計算書類や金商法に基づく連結・個別財務諸表を作成し会計監査(一部任意)を受けています。また、毎月の業績報告等を取締役会に報告したり、海外子会社との取引価格の算定、全社の会計方針の決定、新商品開発時や企業買収時等の際の会計や税務に係る社内コンサルを行ったりしています。

 

―― 組織内で働く上で、公認会計士であることの強みとは何でしょうか。

清水氏: 当社内には他部門も含めると日本の公認会計士、米国CPA、その他外国の会計士資格を有する者が複数おり、それぞれの業務に従事していますが、公認会計士であることの共通の強みは会計等の分野にしっかりとした基礎があるということではないかと思います。また、昨今はJSOX等の関係もあり、各部署にはそれぞれの専門知識、経験を持った人材を配置するようになっていますが、公認会計士であることで、形式要件はクリアされます。もちろん、実質要件また十分条件をクリアすることがより重要です。

 

―― 組織内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか(資質やスキルなど)。

清水氏: 監査法人でも、一般企業でも、同等の機能や役割(顧客開拓、コンプライアンス、リスク、コンサルティング等)や部門に求められる資質やスキルは、それほど変わらないのではないかと思います。また、同等の組織内あるいはチーム内の階層(トップ、課長、責任者、担当者等)に求められる資質やスキルにも大きな違いはないのではないかと思われます。
所属する部門、チーム内の階層により、強弱の差を付けて、会計や税務等の専門知識、英語力、ITスキル、対人コミュニケーション力、プレゼン力、ビジネス理解力、問題分析力、チーム管理能力、プロジェクト管理能力、マルチタスク遂行能力、マーケティングセンス、状況判断力、カラオケでの十八番等々、様々な資質やスキルが求められます。一般に論じることは困難で、監査も含め業種の違い、大組織か中小組織かといった規模の違い、公的機関か民間企業かといった公共性の違いにより、また、それらの組織の中の部門、さらに階層により、それぞれの個別事例において、最も求められる資質、スキルセットが異なってくるのだと思います。

 

―― ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか 。

清水氏: 私が心がけていることには以下のようなものがあります。Result orientation: 目標を意識して業務を遂行し必ず結果を出すということ。Risk taking: 目標を達成するために必要なリスクは積極的に取っていくということ。Openness: 業務に係る情報を共有し人と開かれた会話を維持すること。Integrity: 誠実に業務及び人と対応すること。Get the fact: 複数の情報を入手しまた現地に足を運び、事実を正確に把握すること。

 

―― 若手会計士(もしくは受験中の若者)へのメッセージをいただけますか 。

清水氏: 公認会計士資格は社会的に高く評価される会計分野の最高資格です。どの分野に進むにせよ、一定のレベルに到達していることの証明になります。資格を取得し、監査法人であれ一般企業であれ、監査、会計や関係分野に従事することにより得られる知識、能力は汎用的に活用できるものです。一定の時間や労力を費やす価値のある資格だと確信しています。語学力、IT処理能力、特定分野における知識等、プラスαを付けることでより差別化できるとその価値がさらに高まると思います。各種コンサルティング会社のコンサルタント、会社がその存在価値を認め、将来ビジネス側で活躍する人材を育てる意味も持たせている内部監査部門(形式的に設置している会社はNG)なども、資格を生かす場所としてチャレンジングで面白い分野ではないかと思います。

 

―― 趣味(余暇の過ごし方など)はなんですか。
清水氏: 週末はテニス、水泳等で汗を流し、たまに郊外に車を走らせ、年に数回どこかを旅行しています。

 

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