組織内会計士の活躍事例


株式会社ダスキン 経理部 連結管理室 室長 今井 幸彦 氏
―― 会計士を目指した経緯(理由)を教えてください。
今井氏:大学3年生の時にみんなが就職活動を始めた頃に留年が決まりまして、それが直接的なきっかけですね。
膨大な就職資料を眺めていて自分があまりに社会のことを知らないなと思い、何かスキルを身につけたいと思って勉強を始めたと記憶しています。

今井 幸彦 氏

―― 監査法人ではどのような業務に従事されていましたか。
今井氏:実は、合格した年は就職難で監査法人に就職できなかったので、個人の先生の事務所で記帳代行のアルバイトをしていました。これが今も役に立ってまして、PC入力が早くなりましたし、給与計算とか社保の届出なんかもしていました。
  その翌年、大手監査法人の広島事務所に就職したのですが、地区事務所は上司の先生がみなさん税務もやっていて色々と教えていただきましたし、当時は金融機関の自己査定などが始まった時で支店の臨店などもしましたね。金融検査マニュアルや銀行経理の本をよんで、脂汗を一杯かいて質問した記憶があります。懐かしいですね。

―― 監査法人から組織内会計士になった理由を教えてください。
今井氏:転職するときは事業会社勤務以外の選択肢も考えたこともありましたが、執行側・作成側で当事者として関わりたかったんだと思います。「経営指導」とか言いますが、実際に自分でやったことがないと本当にお客さんのためになるサポートは出来ないのではないかと思ったんでしょうね。

―― 組織内会計士としての略歴を教えてください。
今井氏:監査法人で担当クライアントだった現在の会社が上場するという話が出てきて、34歳の時に「ご縁」をいただき、転職しました。当時は、連結システムを運用に乗せることや上場資料の作成などをしました。転職当時は上場準備でなかなか家に帰れなかったですね。
あと、自分が会計監査をしていて感じていた「もう少しこういう資料があれば。。。」とか「もう少し早く決算が出てくれば。。。」とかを何とか実現するために躍起になってましたね。会計監査に来る後輩に恥ずかしくないように何とか早く数字を出そうと。というのは、監査の一番の効率化はクライアントの経理体制を整備することだと思うのです。
決算作業自体は何も生まないので早く正確にトラブルなく終わらせれば会社も監査人もメリットがあると思います。
現在は、関係会社管理の部署と一緒になって連結管理室という部署の責任者をしています。

―― 現在の仕事内容について教えてください。
今井氏:現在は決算作業としては、関係会社の決算の調整や連結決算、短信・有報・招集通知の作成、株主総会の準備などをしています。また、事業部や経営企画、新規事業などと連携してM&Aや組織再編の経理関係の企画調整、買収後のPMIで経理体制を整備したりしています。監査法人時代も財務DDなどはしたことがありますが、M&Aなどは外部から支援するのもいいですが、内部者として引き合いのインフォメーションパッケージの検討からDD、クロージング、外部プレス開示、買収後のPMIまでする方が面白いと思います。

―― 組織内会計士として公認会計士であることの強みは何でしょうか。
今井氏:シンプルに「会計税務能力」でしょうか?ビジネスに必要なものは当然会計だけではなく、事業運営能力、技術や人材マネジメント力とかマーケティングとかいろいろとあると思います。しかし、事業計画にしても結果数値の経営成績にしても、ましてや法人運営や資金調達、税務申告など経営に会計・税務は必要不可欠です。ここに過信ではなく絶対的自信があればどこに行っても必ず役に立つと思います。
また、英語が国際共通言語であるように会計は国際共通言語だと思うのです。何かわからない言語の外国の決算書が来ても数字は嘘をつかないので丁寧に科目やノートの訳を取っていったら概ねその会社の経営状態がわかると思います。

―― 監査法人経験の強みとは何でしょうか、又は監査法人の経験が今に生かされていると思うことはありますか。
今井氏:プラス面とマイナス面とあると思います。プラス面は「様々の会社の処理を見た経験」や「専門家集団での業務経験」「客観的なものの見方」などたくさんあると思います。
一方、裏返しで自分の反省も含めてなのですが、マイナス面はリアクション的な対応は得意で第三者的な評論はできるが、当事者として能動的に仕事を進めていく能力が不足するのかなと思いますね。

―― 組織内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか(資質やスキルなど)。
今井氏:このウェブサイトに掲載されている皆さんの意見と同じで「説明能力」だと思います。一つ昔話をすると、私が入社した時に、会計基準の改正があるからとあくせくと事業部と打ち合わせして監査法人とすり合わせをして、作った数字を社長や担当役員に報告に行き説明したところ、「わからん。それで正しいかしらんが専門用語ばかり並べずにわかるように説明しなさい。。。」と言われました。会計数値は経営成績であり経営管理のための一番大切な指標でありますので、経営者を含め会社にかかわる人間がどういう数字か理解できるように説明しないとコントローラーとしては失格だと気づきました。難しいことをわかりやすく説明するのがプロなんでしょうね。

―― 組織内会計士になってみて感じること、勉強になったと思うことを教えてください。
今井氏:会社の様々な人と仕事をさせていただいて勉強になったのは、チームワークの大切さです。経理の仕事なんて伝票をただ処理しているだけと思う人もいると思いますが、実際は事業部や関係会社からいろんな情報をもらって分析したり、新しい取引の対応を相談したり、部署間で調整したりして多くの人の仕事の上に成り立っています。ただ、皆さんが作った数字の最終工程の連結や開示を預かっているだけだと思います。

―― ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか。
今井氏:自戒も含めて「有言実行」と「勇気」でしょうか。
前者は黙ってやるのも大切だが、自分がやるといったことは必ずやるし、やらないといったことはしないことかなと。そうすると、周りの人間は計算して行動できるし、判断がぶれないと思います。判断が1つぶれたら仕事は2倍に、2つぶれたら3倍になると思います。
また、後者は、発言したり行動する勇気があれば、案ずるより産むがやすしということが多いと思うのです。やらずに何も生まないよりも失敗してもやる方が上だと思います。

―― 若手会計士(又は受験中の若者)へのメッセージをいただけますか。
今井氏:近年の未就職問題が非常に心が痛みます。大手監査法人に入った人も事業会社に入った人も「会計監査」だけが会計士の道だと思わないでほしいのです。また、会計に携わる人間は公認会計士だけでなく企業経理マン、金融マンや税理士など非常に多いです。ビジネスがあれば会計があると思いますので、攻める会計人と守る会計人、作る会計人と監査する会計人という形で夫々のフィールドで公認会計士が日本経済発展のために貢献していればいいと思います。
あと、これからは英語が必要なんでしょうね

―― 趣味(余暇の過ごし方など)は何ですか。

今井氏:3人子供がいますので、「子育て」でしょうか?釣りとかスキューバとか色々趣味はあったのですが、子供が一緒にできるようになるまで封印して子供の喜ぶ遊びをしていますね。

 

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