組織内会計士の活躍事例


三菱UFJ信託銀行株式会社 不動産カストディ部 鈴木 吾朗 氏

―― 会計士を目指した経緯を教えてください。
鈴木氏:私の勤務する信託銀行は、銀行業務以外に不動産、年金、証券代行など、幅広い業務を行っています。会計に関する知識はその全ての業務に共通して役立つと考え、公認会計士であれば会計の知識を体系的・総合的に習得できると思い、公認会計士の資格取得を目指しました。
近年の試験制度の改正によって社会人も受験しやすい環境になってきたことも、会計士を目指す後押しとなりました。

鈴木 吾朗 氏


―― これまでの略歴を教えてください。
鈴木氏:大学卒業後、現在の勤務先に入社して初めの5年間は支店に勤務し、リテール業務、主として個人顧客の資産運用相談業務に従事しました。その後4年ほどリテール業務の本部の企画セクションで、投資商品販売のコンプライアンスに関する業務に携わりました。それから社内公募制度を利用して現在の配属先である不動産カストディ部に異動し、国内の不動産投資法人(Jリート)の一般事務・資産保管業務に携わっています。会計士の資格を取得して登録したのは、今の部署に異動してからです。

―― 現在の仕事内容について教えてください。
鈴木氏:不動産を主な投資対象としているJリートは、資産運用業務を資産運用会社に、資産保管業務を資産保管会社に、その他の一般事務を一般事務受託者に外部委託することが義務づけられています。当社ではJリートの一般事務および資産保管業務を行っており、私の所属する不動産カストディ部では、Jリートから事務の委託を受けて計算書類の作成や様々な支払事務を行っています。具体的には、伝票起票・仕訳作業を行い総勘定元帳や決算書類などを作成する計算・会計事務と、委託者の指図に従った出金を行う支払事務を行っています。私自身は、担当するJリート数社の会計・支払事務を遂行する一方で、新しい会計基準が導入される際にはグループ内で勉強会を開催したり、新任担当者向けに簿記の基本や消費税の基礎知識を指導するなど、メンバーの知識向上に努めています。また、新規顧客を獲得するために、Jリートの新規設立を予定している取引先や当社と取引のない先に対して法人営業担当者と協働して受託に向けたセールスも実施しています。

―― 監査法人に行かずに 組織内会計士になった理由を教えてください。
鈴木氏:会計士試験や実務補習 を通じて得た知識を、現在の仕事に活かしたいと思ったからです。そして現在も 組織内会計士を続けているわけですが、それは実際に実現できているという実感・やりがいを日々感じているからです。現在の業務の立ち位置が、保証する側ではなく作成する側であること、また自社の経理セクションと異なり、顧客にサービスを提供して目に見える形で報酬をいただいているということも、やりがいに繋がっていると思います。


―― 組織内会計士として公認会計士であることの強みとは何でしょうか。
鈴木氏:公認会計士という資格があると、初対面であっても専門家としての安心感を与えることができ、顧客との信頼関係の構築に役立つという強みがあると思います。その一方で、この資格を活用して仕事をする以上、公認会計士としての信頼を失ってはならないという責務を感じることが、自己研鑽を続ける動機になっています。学び続けながら仕事を続ける環境に自分を置くことができることが、公認会計士の強みなのだと思います。

―― 組織内会計士になってみて感じていること、勉強になったと思うことを教えてください。
鈴木氏:資格取得後は会計士であるという理由で会計や税務に関することを何でも詳しく知っていると思われてしまうことがあり、社内外の色々な方々から質問や相談をされる機会が増えました。その場で即答せずに調べて折り返す場合が多いですが、それを繰り返し続けた結果、以前よりも自分のところに様々な情報が集まってくるようになったと感じます。

―― 企業内で働く公認会計士にはどのようなものが求められますか。
鈴木氏:わかりやすく人に伝える力が必要だと思います。会計にあまり詳しくない人や会計に苦手意識を持っている人に対して、専門用語を羅列するのではなく、相手の理解を確認しながら、それと同時に「上から目線」ではなく、謙虚に丁寧に説明する姿勢が必要だと思います。

―― ビジネスマンとして大事にしていることは何ですか。
鈴木氏:顧客目線で考えることです。顧客の側に立って考えてみる習慣を身に着けておかないと、自己満足に陥り、無駄に空回りをしたり、いつのまにか孤立している、という状況になりかねません。
また、組織のメンバーが楽しく働くことのできる環境を作るよう心がけることも大事にしています。顧客満足度を高める組織であるためには、メンバー自身の満足度が高くなければならないと思いますし、また、楽しく働けるくらいの心の余裕がなければ新しいアイデアも出て来ないと思います。そのため、風通しの良い職場を維持できるよう心がけています。

―― 若手会計士(もしくは受験中の若者)へのメッセージをいただけますか。
鈴木氏:会計士の資格は、その資格を持つ人の働き方の選択肢を広げることもあれば、逆に狭める側面も持ち合わせていると思います。せっかく持っている(もしくは取得を目指している)資格なのですから、自分の働き方の可能性を広げるものであると捉え、様々な環境で活かしていただければよいのではないかと思います。

-趣味(余暇の過ごし方など)はなんですか。
鈴木氏:運動不足解消と体型維持(特にお腹まわりが最近・・・)のため、週末は近所のスポーツジムに通って汗を流しています。

 

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